「写真撮ったか?そしたらアンケート用紙の裏に写真何枚目かメモっとけよ」

ものの2時間くらいで20人分くらいのアンケート用紙が集まった。

タクシーと山手線を乗り継ぎ、渋谷へ戻る。反省会と称して駅前のマイアミで煙草を吸う事にした。

「まずこのカメラの写真を現像するじゃろ?これは俺が帰りにやっとくわ。んでアンケート用紙の管理はお前な。それから今後なんじゃけど、聖心・大妻・共立これは外せん。あとは本女・帝女・戸板・嘉悦・東横……」

よくも次から次へと女子大の名前が出て来るなと関心する。そういった事にあまり興味のなかった俺にとって半分以上は聞いた事もない大学名だらけだった。

日程的に共立が次のターゲット。入学式のある会場の最寄り駅の神保町駅に集合する事になった。

効率化を踏まえる為にも式前の登校時は辞めて、式後一発勝負となった。無駄な早起きと通勤ラッシュはもう懲り懲りだ。

地下鉄の神保町駅からまっすぐ進むと小学館や集英社の社屋が並んでおり、その先に共立女子のキャンパスが見えて来る。

先日の目白女子の時の比ではないくらいの大学生が、新入生が出て来るのを今か今かと待ち構えていた。

「お!イナ君!出て来たんか?懲りんね〜。」

ホソダが知り合いを見つけたらしく、話しかけていた。

「今のは?」

「あいつイナモリつって、去年パクられたんだよ。」

「え?」

「おととしの冬にどっかのスキー場でナンパした女に眠剤飲まして悪さしたんだけど、そのあと女の子雑誌の取材受けて身バレして……」

ヨヨギとホソダがケタケタと笑い出す。要するにこういう事らしい。

このイナモリという男はスキー場でナンパした女の子の部屋に上がりこみ、睡眠導入剤入りの酒を飲まして昏倒させた上で財布からお金を盗んだ。
被害にあった女の子も犯人の名前も素性も連絡先も知らないので泣き寝入りしていたのだが、たまたま読んだ雑誌に犯人が名前と大学名入で掲載されていたので通報、イナモリはお縄になった。

当時は(今でもそうかもしれないが)学生サークルの顔役的存在の人間が”仕出し”と呼ばれる仕事を請け負って、雑誌のインタビューコーナーとかストリートファッションコーナーとか、テレビのエキストラやなんかにサークル仲間の大学生をあてがってバイト代を稼いでいた。

イナモリもそういった女の子雑誌の”彼女にしたい春コーデ”みたいな特集記事の端っこの方に「清潔感のあるブラウスなんかを着ている子がいいな」的なコメントを顔写真入で掲載されていたんだそうだ。

当然大学も除籍、今日もナンパ友達とただただ新入生を引っ掛けに来ただけらしい。

そんな鬼畜が右も左も分からない新女子大生を勧誘という名の狩りに来ている。それと比べたら俺らのインチキサークルの方が断然まともに思えて来た。

何がモチベーションになるかわからないものだ。俺は俄然やる気がわき出していた。

(5)に続く