「おはようございま〜す。」

夕方4時に1年A組のあるマンションの1室「オフィス1A」に出勤すると、待ち合いのソファーにナカハシとスーツ姿の男が座って話をしていた。

「それではそろそろ失礼いたします。取材できる女の子いたらいつでも連絡ください。」

スーツの男は一礼するやくるりと踵を返すと颯爽と出ていった。

「今のは?」

「あ、ああ新しい情報誌の営業さん。ままマンゾク。」

相変わらずナカハシは滑舌が悪い。先ほどのスーツの男は新しい風俗情報媒体”マンゾク”の営業マンで、1年A組も新規オープンということで広告を載せてみることにしたのだそうだ。

風俗店の掲載のされ方には2種類あり、一つ目が”広告”二つ目が”取材”だ。

前にも書いた通り広告は料金を支払って掲載誌のフォーマットに合わせて広告スペースに出稿するタイプのもの。

一方で取材は料金を払わずに掲載誌の各コーナーに合わせて取材記者が取材した内容(写真やデータ)が掲載される。

シンプルな例としては女性の写真一枚の下にスリーサイズなどのデータや電話番号や最寄り駅などのお店の情報を合わせて掲載する”名鑑”と呼ばれるコーナーや、遊び方やお店の特色などを文章を中心に紹介する“企画”のコーナーなどがある。

基本的には出来るだけお金をかけずに週刊誌やエロ本の歓楽街コーナーに無料で載せてもらうのだが、専門誌の場合はまずは”おつきあいありき”が基本方針なので、広告枠をつき合う必要がある。

1年A組は、顔出しの出来る女の子を2〜3名抱えてのスタートだったので、すでに数件取材の予定が組まれていた。

取材する側もなるだけ魅力的な誌面にするために”カワイイ女の子”や”面白い遊び方”を求めており、依頼するときは企画書や宣材写真を送りつけてしつこく電話をかけて担当者をつかまえる必要があった。

一方で広告を掲載している情報誌に関して言えば、こちら側はクライアントなので、担当営業マンと電話が繋がりやすいし、微妙な企画でもお願いすれば誌面のどこかにねじ込んでもらえた。

お店の企画も”本格的イメージプレイ”に加えて”実際の都内女子校の制服使用”と2つのこだわりを打ち出しており、さらに顔出し出来る女の子もそこそこ可愛かった。

にも関わらず、オープン時の1年A組の取材件数は少なかった。

(5)に続く