メンズエステ“違法経営”逮捕の男はフジ系人気ドラマ『チーム・バチスタ』シリーズのディレクターだった! 音楽事務所にも出入りしていた“秘密の素顔”とは?
2022.4.28

「こんにちは! 映像・音楽業界の仕事なんでもやってます……ここ何年かは、珊瑚の飼育をしてますが、なかなか上手くならないんですよ、難しいなあ! 水槽やばいです! さぼり過ぎ!!笑 デカイ水槽欲しいよ~!」(奥田圭一容疑者のSNSより)

 違法なメンズエステ店を経営したとして警視庁は6日、経営者の奥田圭一容疑者(54)を風営法違反(禁止地域営業)の疑いで逮捕したと発表した。奥田容疑者は渋谷や恵比寿、麻布十番のマンションなど計7カ所で、7年以上営業を続けていたという。


メンズエステを副業として始めた奥田容疑者の本業は…?

「一般的な風俗店は裏社会の人間が絡むイメージもあるが、メンズエステはマンションの一室を借りて、個人が“副業”として始めることもできる。実際にそういった例は多い」(メンズエステ経営者)というように、奥田容疑者も当初はメンズエステの経営を副業として始めたようだ。

 実は奥田容疑者の本業は、テレビ番組のCGディレクター。数々の連続ドラマなどを手掛け、大手テレビ局の番組でもCG処理などを担当してきた“やり手”だったという。

 テレビ業界関係者が話す。

奥田容疑者は大阪府出身で、学生生活を地元で過ごしたのち、上京しました。元々は音楽系の会社に勤め、レコーディングエンジニアをやっていて、 アメリカにも住んでいたと聞いたことがあります。

 その後、CGなどの映像編集をする都内のポストプロダクションに入りました。そこで営業やスケジュール調整などの窓口を担ったことがきっかけで、テレビのプロデューサーや大手制作会社の役員と人脈をつくっていきました。そして2007年に同僚たちと独立し『イレブングラフィックス』という映像制作会社を起ち上げ、社長に就任したのです」


フジ系列の人気ドラマ『チーム・バチスタ』シリーズを担当

 独立後も有名テレビドラマ作品のCGプロデュースを任せられるなど、信頼を勝ち得ていたようだ。前述の業界関係者が話す。

「有名どころでいえば、フジテレビ系列の準キー局である関西テレビが2011年に制作した『チーム・バチスタ3 アリアドネの弾丸』、2014年の『チーム・バチスタ4 螺鈿迷宮』といった連続テレビドラマ。他にもNHK教育テレビの『テクネ 映像の教室』でプロデューサー、NHK BSプレミアムの『京都人の密かな愉しみ』でVFXの責任者を務めました。仕事内容は、わかりやすく言うなら番組中のタイトルやロゴのグラフィックをいじる役割ですね。

『CGといったらこの人』というレベルの腕利きではありませんが、制作サイドは局側と“ツーカー”で仕事をしなければならないので、ベテランの奥田容疑者は要領も得ていて使いやすかった。ただ、数年前に会社がつぶれ、最近は映像系の仕事も減っていたので何をしているのかは知りませんでした。彼は社交的ではありますが、一緒に飲みに行ったこともなく、仕事仲間とプライベートで深く関わるタイプではなかったと思います。『水槽を眺めるのが好き』と言っていたので、てっきり仕事後も家に1人でいるのかと思っていましたが……。私が知る限りでは彼女がいたことはなく、ずっと独身でした」


好きなアートは「ガウディ」「安藤忠雄」「葛飾北斎」

 奥田容疑者のSNSの紹介文では、

《年齢不詳、初対面の人全てに年を聞いて驚かれるイイオトコ。珊瑚と熱帯魚を愛する心優しき男。そして、本音を共有できる素敵な友人です。アーティスト売れるといいね》

《優しいです。お母さんみたいな所があります。本当はあったかいんです》

 といった内容が書かれ、自身の“裏”の顔を窺わせる雰囲気は微塵もない。プロフィール上の好きな映画は「ブレードランナー」、「風の谷のナウシカ」、好きなアートは「ガウディ」「安藤忠雄」「葛飾北斎」と書き、さながら文化的な好男子といった印象だ。

 その一方で、本業の経歴を活かして音楽事務所の関係者と交流を深め、オーディション選考などにも関わる傍ら“裏稼業”のメンズエステ経営に励んでいたようだ。


音楽事務所の社長とも「親密交際」

奥田容疑者は、渋谷区のある音楽事務所社長のA氏と親しく、プライベートでも釣りにいくような仲でした。A氏は耳がよく、話し声を聞いただけで歌手の資質がわかるというやり手の音楽プロデューサー。芸能界とも強いパイプがあり、金を積めば大手からメジャーデビューさせることができる力があるほどだと聞いています。奥田容疑者はこの事務所のオーディション選考や撮影などを手伝っていたようです」(音楽事務所関係者)

 だが、この親密交際には裏があったようだ。奥田容疑者の店で働いていた元女性セラピストが話す。

「同僚には名古屋のメンズエステやキャバクラで働いていた子もいました。オーディションで全国を回りながら、各地の店に客として出入りし、女の子をスカウトしていたようです」


「映像の仕事よりも女の子もつまみ食いできるし、儲かる」

 奥田容疑者は調べに対し、「これまで5億円以上売り上げた」と供述している。単純計算でも、年に7000万円以上の金額を稼いでいたことになり、“副業”の範疇を大きく超えている。こうした“成功”を受けて、本業の映像の仕事は疎かになっていったようだ。

「『大変な映像の仕事よりも、メンズエステの方が女の子もつまみ食いできるし、儲かる』と本人は話していました。映像の仕事は徐々に減らしていったようです」(同前)

 毎日、映像の仕事が終わると繁華街に向かっていたという奥田容疑者。そこでは関係者もほとんど知ることがなかった“裏の顔”を見せていたという。
文春オンライン


(参考記事)「1万円くれれば本番OK」「現役CAが働く店も」 “摘発ラッシュ”が続くメンズエステ業界 リスクがあっても人気のワケは…?《人気店が風営法違反で摘発》