ススキノなど札幌中心部、客引き禁止が全業種に拡大…一部エリアの自店前1m以内は除外
2022/7/1

 札幌市中心部での客引きなどを禁じる「客引き防止条例」が7月に全面施行され、道警や市職員らによるパトロールなどが1日に行われる予定だ。条例の周知期間とするため、今年4月から一部が施行されていたが、今後は、ススキノ地区といった市中心部での全業種の客引きを禁止し、従わない場合は、過料や氏名公表などの罰則が科される。


 札幌市地域振興部区政課によると、これまでは、風俗営業法、道迷惑行為防止条例、市のススキノ条例で規制されている接待を伴う飲食店などが対象だった。新たに全面施行される条例では、居酒屋やカラオケ店など全業種の客引きや客待ち、勧誘行為を禁止する。


 対象エリアはJR札幌駅周辺~すすきの駅周辺で、東西は創成川通から西7丁目通の間。一部エリアでは、自店舗前1メートル以内での客引き行為が認められている。

 市は今年度から指導員として道警OBの7人を採用した。指導員は毎日巡回を行い、違反行為を確認すれば、指導、勧告、命令を行う。命令に従わなければ、5万円以下の過料を科すほか、違反行為に関連する店舗名を公表する。

 市は昨年7月、金・土曜日の午後6~11時にススキノ条例で指定する区域内で客引きの実態調査を行った。新型コロナウイルスの感染拡大を受け、時短要請中だったにもかかわらず、平均で54・9人の客引きを確認した。内訳では、旧ラフィラ前で29・7人、南5~7条周辺で13・2人、狸小路周辺で7・6人だった。

 また、インターネット上で市民480人に実施したアンケートでは、約9割が客引き行為を好ましいとは思わず、約7割が何らかの規制を行う必要性を感じていると回答した。その理由については「ぼったくりに遭いそうで不安」が71・3%、「不快な気分になる」が58・2%、「通行の邪魔」が54・1%を占めた。地元町内会や関係団体でつくる協議会も、市に規制を強く望む要望書を提出していた。

 こうした客引きや客待ちなどへの苦情が相次いだことから市は昨年3月に条例の制定に着手。市民からの意見公募を行うなどし、今年2月、札幌市議会に提出し、3月に可決された。市地域振興部の奥木貴史区政課長は「安心して通行できるように、関係機関と協力しながら安全で安心な街づくりをしていきたい」と話している。
讀賣新聞オンライン