ススキノ、新業態に活路 ホストクラブ、夕方はカフェ/居酒屋は換気充実の焼き肉店に 生き残りへ試行錯誤
2022/8/21

 道内で新型コロナウイルスの感染「第7波」が拡大する中、札幌・ススキノで業態転換や新規事業に取り組む飲食店が増えている。ホストクラブが夕方からカフェとして開店し、居酒屋が換気設備の充実を売りにした焼き肉店に変わって営業を再開した。感染対策に伴う営業制限の要請は3月以降ないが、道内では今月19日に新規感染者が最多を更新するなど第7波の猛威が続き、宴会や団体客はなかなか戻らない。歓楽街で生き残りをかけた試行錯誤が続いている。

 「いつまた営業時間短縮を要請されるかわからない。ルールを守りながら成果を出したい」。ススキノのホストクラブ「CLUB DARLIN(クラブ ダーリン)」経営者のレオさん(36)は、新規事業に乗り出した理由をこう語る。

 店は6月から、午後4時からホストクラブが開店する前の同7時までカフェとして営業している。メニューは1杯300円のソフトドリンクや軽食で、チャージ料や横にホストが座る接客はない。

 同店は道などの時短要請などに従い、営業制限が171日間続いた昨年夏は売り上げが伸び悩んだという。カフェ営業で、従業員の働く場の確保や新しい客の獲得を目指している。

 7月末の夕方にはミラーボールの光が輝く中、女性客がアイスティーやパスタを楽しんでいた。レオさんは「今後はシャンパンタワーならぬそうめんタワーなど、ホストならではの催しで集客したい」と話す。


■ガールズバー経営の女性、自作のペットフードに商機

 一方、ススキノでガールズバー3店を経営する皐月芽衣(さつきめい)さん(33)はエゾシカ肉など道産食材を使ったペットフード「LULU(ルル)ごはん」の販売を5月に始めた。25歳で独立して以降、コロナ禍ほどの客数減はなかったといい、売り上げが半分以下に落ち込む中、商機を見いだしたのが以前から自作していたペットフードだった。

 ただ、事業の黒字化はまだ遠い。客が1本数十万円のシャンパンを頼むことも珍しくない世界で生きてきたからこそ、一つ数百円の商品を買ってもらう難しさを肌身で感じる。それでも「逆境で軌道に乗せられれば、将来的に必ず強い事業になる」と意気込む。

 ススキノで7月に開業した「韓国焼肉・ジンギスカン天竺(てんじく)」は、6月まで居酒屋だった店舗を改装した。大型の排煙装置を設置し、感染対策として換気能力の高さをアピールする。

 同店は居酒屋の店舗で昼は喫茶店、深夜はバーの「三毛作」で営業するなど試行錯誤を繰り返してきた。運営会社社長の中川紀仁さん(45)は「コロナ禍で何より大事なのは消費者に安心感を持ってもらうこと。改装費は数百万円かかったが、生き残るために必要な選択だった」と明かす。
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