キャバクラなど宣伝の「広告トラック」、東京都が規制強化…都外ナンバーも審査へ
2023/4/8

 東京都は、トラックの荷台に大型広告を掲示する「広告宣伝車」のデザイン審査の対象を、都内を走行する全車両に拡大する方針を固めた。現行の審査は都内ナンバーの宣伝車に限定しているため、都外から風俗営業を宣伝する車が流入し、市民から苦情が寄せられていた。公衆に不快感を与える宣伝車を都心から一掃する狙いがある。

 広告宣伝車は、繁華街で人目を引きつけようと過度に派手なデザインを施したり、大音量で商品・サービスをアピールしたりすることが、街の景観に悪影響を及ぼすとして問題化。都は2011年、都屋外広告物条例の施行規則を改正し、都内で走行するには、公益社団法人「東京屋外広告協会」のデザイン審査で承認を受けさせることにした。

 同協会の審査は、〈1〉公共空間にふさわしい〈2〉街区の景観への配慮〈3〉人々に不快感を与えない――などを基本方針とし、今年3月末までに累計620台を承認した。

 ただ、施行規則は審査対象を都内ナンバーの車に限定しているため、近年は審査を受けない都外ナンバーの宣伝車が目立つようになった。都が2月、新宿と渋谷の繁華街で実態調査したところ、6日間で確認した約70台は全て、「横浜」「福島」「名古屋」などの都外ナンバーで、うち7割は、ホストクラブやキャバクラ店など風俗営業を宣伝する車だった。

 都関係者によると、風俗営業の広告は協会の審査基準に照らして、承認を得られない可能性が高いという。都は、審査対象を都内ナンバーの車に限定したことが、規制の抜け道になっているとみて、今年度中にも施行規則の改正作業に着手し、対象拡大に踏み切ることにした。実効性を上げるため、埼玉、千葉、神奈川県など周辺自治体とともに広域的な統一ルールを策定することも検討している。


 ◆ 広告宣伝車 =「アド(広告)トラック」とも呼ばれ、人通りの多い場所を何度も回って商品・サービスを宣伝できる利点がある。直前に見聞きした広告で購買意欲を喚起する「リーセンシー効果」が高いとされ、イベントや新商品、政党のPRなどに幅広く使われている。
読売新聞オンライン