「過剰サービスで月に数百万円」「マジメに働く子は淘汰される」…都内でメンズエステ店を経営する男性が明かす「違法店の実態」

「過剰サービスを提供しないとやっていけないんです」

都内でメンズエステ店を経営するA氏（40歳）はそう語る。

メンズエステと聞くと、男性向け脱毛サロンのようなサービスを思い浮かべる人もいるだろうが、近年ではマンションの一室で女性からオイルマッサージなどの施術を受けられる店舗もメンズエステ店として括られている。

「メンズエステ店は風俗店とは異なりますが、オイルマッサージを受けるタイプの店舗では性的サービスを提供することも少なくありません。
数年前に風営法違反での摘発ラッシュが起こりましたが、懲りずに違法運営を続ける店は多い。
実際、男性客への性的サービスの提供で摘発されている店舗は今でもあります」(風俗ライター)

A氏が経営する店舗も、こうした性的サービスを提供している“違法店”だ。

「摘発されるメンズエステも多い中、違法店は年々増えている印象です。
実は、私の経営する店舗も、数年前のオープン当初はいわゆる健全店で真っ当な営業をしていました。
しかし、徐々に客が離れ始めた。それは、過剰サービスをする店舗が増えたからです。
同じような健全店が相次いで閉店したことが引き金となり、ウチでも性的サービスの提供に抵抗のない女性を雇い始めたというわけです」

本来ないはずの性的サービスが受けられるということが口コミで広まり、A氏の店の売り上げは3ヵ月で倍以上に伸びたという。

「今は口コミサイトや掲示板で客同士の情報交換ができる時代ですから、どの店の誰が過剰サービスをしてくれるのかはすぐに分かります。
逆に、健全なマッサージしか行わない子は炙り出されてしまう。

マジメに働いていた子が淘汰され、反対に違法なサービスを行う女の子が幅を利かせる。
立派な違法店の出来上がりというわけです。今の時代にこの業界で稼ぎたいのであれば、店側も女性側も、健全なサービスだけではやっていけないのが実情です」

追加サービスで月に数百万円を稼ぐ猛者も

実際、過去に摘発された店舗では年間数億円を売り上げていたとの報道もある。

しかし、こうした違法行為で得をするのは店舗側だけではない。女性側にもかなりのうまみがあるとA氏は続ける。

「今は5000円から7000円ほどの追加料金でマイクロビキニに衣装チェンジができるオプションを採用する店舗が増加していて、かなりの需要がある。ほとんどの客はこのオプションを付けるから、1日に数人の客の相手をしていれば、月単位で結構な歩合給になります。

中には、店が提供していないトップレスのオプションを勝手に導入している猛者もいる。
基本の金額に＋1万円でトップレスになりますといえば、1万円がそのまま懐に入ることになる。
1日に4人客が付けば4万円、週5日で20万円のチップという計算です。

もちろん、その他の性的サービスで別にチップを貰いますから、かなりの額になります。
川崎市にある某メンズエステ嬢は、オフィシャルではないメニューを複数導入していて、チップだけで月に数百万円稼いでいるそうです」

違法店舗の“バレない”対策の徹底ぶりとは

つまり、違法店は店と女性、双方の協力のもとで成り立っているということになる。

「もちろん、どの違法店も摘発には常に警戒している。
多くのメンズエステがそうですが、予約電話を受ける際は店名を名乗らないのは基本中の基本ですし、HP上では店舗の場所を明確にしていません。新規の客には『性的サービスを提供しない』旨の同意書にサインを書かせ、表向きは健全店を装っています。

マンション内での会話NGを事前に通達する店舗もある

あと、これはウチの店の話ですが、性的サービスを行わない子も複数雇っている。
もちろん、そういう子はあまり稼げませんから、他の女の子より少し取り分を多くしています。
なぜそれをするかというと、摘発される店は過剰サービスをほぼすべてのキャストが行う悪目立ち店が多いからです。
だから、『あの子は健全だったからもう行かない』といった口コミも、ネット上である程度は出しておきたいのです。

また、そもそも住居専用マンションを借りて営業をしている店舗もあります。
そういう店は警察だけじゃなくマンションの管理会社や入居者にもバレないようにしないといけませんから、マンション内での会話を禁止している。
私がよく行く店では『オートロックの解除は無言で行います』『部屋の前では話さないようにしてください』といった文言が、事前に客に通達されています。とにかく“バレない”対策は徹底しているということです」

報道で目にする違法メンズエステ店の摘発は、氷山の一角のようだ。
（現代ビジネス）