高級住宅地・目黒に急増する「違法エステ」の実態。摘発逃れで“闇民泊物件”を転々…住民に広がる不安
2026/6/13

 2月に人気店「神のエステ」が摘発されたのをはじめ、全国で違法メンズエステへの締め付けが厳しくなっている。ところが、都内の高級住宅地・目黒で違法メンエスが増えており、なかには闇民泊で営業する店もあるという。現地を歩き、違法風俗の実態に迫った!


 2月、1都4県で営業していたメンズエステ(以降、メンエス)「神のエステ」が風営法違反(禁止地域営業)の容疑で摘発された。
メンエスは、“土建”(ユーザー間の隠語。「ド健全店」の意味)なら、特段の許可なく営業できる。

 だが、性的サービスを提供するには風営法上の届け出が必須なうえ、許可を得ていても禁止地域では営業できない。「神のエステ」はごく普通のマンションの一室で、年間10億円も荒稼ぎしていたという。

 売り上げを押し上げたのは、過激な性的サービス「裏オプション」だ。

 そんな違法メンエスが、東京の高級住宅地・目黒区で増えている。
なかには実態は無人管理の民泊だが、旅館業の営業許可を受けた“名ばかりホテル”や、許可さえ得ていない闇民泊で営業する店もあるというのだ。
摘発を逃れるため、場所を転々とするのに都合がいいのだろう。
メンエスの住所は「○○駅徒歩3分」「目黒区○○2丁目」などとボカされており、予約して初めて、「ルーム」の場所が明かされる。これも摘発対策と見ていい。

 住所の情報提供を受けた記者がまず訪れたのは、都内でも屈指の人気エリア・中目黒。駅から徒歩5分ほど、大手デベロッパーが手がけた新築の高級マンションだ。
本当にここでメンエスが営業しているのか。だが、店のHPにある「駅チカ」「新築高級マンション」の文言と重なる。
予約の電話を入れ、住所を聞き出すとまさにここだった。闇民泊ではなかったが、こんな高級マンションにもメンエスは入り込んでいた。

 この物件ほど高級ではないが、中目黒には違法メンエスが入居するマンションが多い。風俗店経営に携わり、業界事情に詳しい千葉礼音氏は、こう明かした。

「メンエスの7割は性風俗店で、大多数は住居用の賃貸マンションを借りてモグリで営業している。
もちろん違法ですが、住宅街でも営業できてしまう。
近年、風俗は過当競争で、風俗コンサルの指南で競合が激しい繁華街を避けて、あえて住宅街で商売する店も増えてます。
さらに中華マネーが都内の不動産を買い漁っており、中国人のマンションオーナーにすれば、メンエスだろうが賃料が入ればいいので黙認している状態。
こうしてメンエス営業の“許可物件”が続々と増えているのです」



「騒がないように」店が客に注意する理由


 メンエス愛好者ゆえに度を越した営業を懸念し、今回、情報を提供してくれた夜神勃人氏は、実態をこう話す。

「目黒区は閑静で安全な住環境を求めて暮らす人が多いのに、引っ越したマンションにメンズエステが入っていたら、平日休日を問わず、不特定多数が深夜まで出入りする。
そんなメンエス店が“施術”を行うルームが、私の知る限りでは、目黒区に少なくとも150室はあります」

 住民はたまったものではない。中目黒のメンエスと同じフロアに暮らす30代の主婦は、悲痛な声を上げた。

「住居用賃貸なので店舗営業はできないのに、深夜にBGMらしき音楽や、外国人女性と男性客の話し声が漏れてきて……。小さな子供がいるので何かあったら心配ですが、事を荒立てるのも気が引けて警察には通報してません」

 行政の対応はどうか。目黒区議の白川愛氏が答える。

「性的サービスが提供されていたという証拠がなければ、警察は動けない。ファミリー向けマンションの住人から『不特定多数がマンション内に出入りして不安」などの相談も寄せられているが、違法営業であっても問題が顕在化しにくいのが実情です」

 メンエス側も予約の電話やSMSで「マンションの前で騒がないように」「インターホンを鳴らさず、そのまま入室してください」「入室時、セラピストと話さないように」などと客に求める店が多い。
もちろん、近隣住民への配慮ではなく、通報を恐れているにすぎない。ただ皮肉にも、こうした店側の対応が、より問題を見えにくくしているのも事実だ。

 祐天寺は渋谷から電車で6分と好アクセスながら、閑静な住宅街が広がる。メンエス店から聞き出した「ルーム」は、駅から徒歩5分ほどの中層マンションの一室。
エントランスには「タバコのポイ捨てや騒音」を日本語、英語、中国語で注意する貼り紙があり、闇民泊の存在を窺わせる。「ルーム」の前で耳をそばだてると、男女の話し声が聞こえた。


闇民泊のエステ嬢は高密着で裏オプを誘う


 次に記者が向かったのは、目黒駅から徒歩5分ほどの高級マンションだ。驚くことに、目と鼻の先に交番があるが、ここにもメンエスは侵入していた。
さらに歩くこと10分、駅からは徒歩5分圏内の中層マンション。エントランス脇の植え込みの柵に、キーボックスが6つもくくりつけられている。闇民泊と見て間違いないだろう。入手したメンエスの住所とも一致する。

 店に予約の電話を入れると、このマンションの部屋番号を告げられる。教えられたとおり、呼び鈴を鳴らさずに入室すると30歳前後と見られるセラピストと対面した。

「前はデリヘルにいたけど、仕事がキツいわりに稼げないから移ったの。エステはデリヘルより客層がいいし、ムリな客なら『そういうお店じゃないから』って言えば断れる(笑)。逆にいいお客さんなら、ある程度のわがままは受け入れますよ」

 なぜ、メンエスに流入する女性が増えているのか。前出の千葉氏が説明する。

「他の風俗が稼げなくなったわけではないが、稼いでいるのはSNSで客を取れる女のコ。だから、SNSが苦手なコ、それに『ラクだから』コンカフェやガールズバーで働いていたコや夜職に抵抗のあるコが、健全店と言い張れるエステに鞍替えしている」

 一方、闇民泊の彼女の施術は、オイルエステにしては密着度がやけに高い。30分を過ぎた頃には、記者がはいた紙パンツは切られ、彼女の乳房はあらわになっている。そして、こう囁きかけられた。

「どうスッキリしたいの?」

 いわゆる「裏オプ」「個人オプション」のオファーだ。丁重に断り、このルームが闇民泊か、それとなく聞いた。

「……わかりません。でも、そういう店もあるみたい。どっちにしてもマンションで営業してるのは一緒。他の部屋には普通の人が住んでるし、騒音とか共有スペースを汚さないように、とにかく気をつけてる」

 昨年6月の風営法改正でメンエスの規制が強化され、無許可営業の罰金は最大3億円に引き上げられた。
今回、“名ばかりホテル”での営業実態は確認できなかったが、厳罰化がメンエスの地下化を加速させているのかもしれない。今後も注視が必要だ。
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